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借地権・底地の不動産鑑定評価において、近隣地域の分析において借地権市場について触れられていないとの指摘です。通常不動産の市場は売買市場・賃貸市場(貸家)が主流であり、借地権市場が形成されている地域はないと言っても過言ではありません。とは言え、評価対象が借地権、底地である場合は、不動産鑑定評価上は記載が必要な項目です。以下のような記載が、サンプルとなります。①借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度 借地権自体の取引は極めて少ないが、借地権者による底地併合や地主の借地権買取等は当事者間では一定の割合で成立するものと思われる。 従って、数量は少ないが、十分に慣行化並びに成熟化していると言える。 ② 借地権のあり方 近隣地域及び周辺類似地域内では旧借地法時代の借地が継続しているのが一般的であり、平成4年の借地法改正以前において、新規に有償で借地権が成立することは極めて少なく、承継による借地権が一般的である。借地権の取引は、当事者間による場合が多いが、第三者を対象として借地権付建物が取引される場合も、少ないながら認められる。当事者間による場合も第三者間による場合も、借地権割合には差がない場合が多い。借地権は、条件変更により堅固な建物も認められるが、一般的には非堅固な建物所有が多く、賃貸借契約は当初口答による場合が大半であるが、近年の更新時に書面に変更する場合が多い。近隣地域の借地権は、旧来からの地主に対して借地人が恩恵的に賃借している場合は、借地権に関する権利意識はやや弱いが、近年承継によりその地位が引き継がれている場合が多く、借地権に関する権利意識は、借地人・底地所有者いずれも強い地域である。 ③ 借地権取引の態様 近隣地域及び同一需給圏内の類似地域においては、借地権の設定時期が古い場合が一般的であり、設定当時に権利金の授受がなされていない場合や当初契約当事者等が既に他界されて、不明となっている場合が多い。また、その後の一時金の授受の慣行については、条件変更を伴う場合は条件変更承諾料、更新時には更新料の授受が一般的となっている。条件変更承諾料は、更地価格の5〜10%が多く、更新料、名義書替料は更地価格の5%程度が多い。