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一部正解、一部不正解です。
原則は国税庁の定めた財産評価基本通達の利用により算出した価格が相続税申告・相続税還付用の不動産価格となりますが、例外的に、国土交通省(正確には旧建設省)が定めた不動産鑑定評価基準の利用により算出した価格も相続税申告・相続税還付用の不動産価格として認められる場合があります。
それでは、何故、国家資格者である不動産鑑定士により算出された不動産鑑定評価額よりも、相続税申告・相続税還付者により算出された不動産価格が原則となってしまうかですが、その根拠は財産評価基本通達に記載があります。
国税当局は、財産評価基本通達1(2)で
「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」
としています。
つまり、国税当局の解釈は、相続税申告・相続税還付に限定した不動産価格は、不動産鑑定士により算出された不動産鑑定評価額が時価ではなく、相続税財産評価基本通達により算出された不動産価格こそ時価であるということとなるからです。
但し、国税当局は不動産鑑定士により算出された不動産鑑定評価額を完全否定するわけではなく、一旦は国家資格者としての地位を尊重し、受理はしてもらえます。
しかしながら、不動産鑑定評価書の内容に合理性がない若しくは欠如している場合は、申告否認となりますので注意が必要です。
否認される確率は財産評価基本通達による価格よりも不動産鑑定士により算出された価格の方が否認確率が高いと実務上言われております。否認されれば、不足部分の本税の他に、過少申告加算税、延滞税のペナルティが発生致します。
とはいえ、財産評価基本通達も万能な内容ではないため、土地の形が極端にイビツなど、特殊な土地の場合は、否認リスクも検討しながら、不動産鑑定士により算出された価格も検討する必要があります。
結論としては、財産評価基本通達、不動産鑑定士による価格を否認リスクを検討しながら、比較検討したうえでの相続税申告・還付が、相続人の方にはより適切な選択肢となります。
当方の体感上、約9割は財産評価基本通達による価格で問題ないと思います。
勿論、財産評価基本通達を駆使出来ることが前提です。
駆使出来ない場合は、あまり価格が落ちないのも事実です。
残り約1割の土地につき、不動産鑑定士による不動産鑑定評価額を検討する必要があるように思います。