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類型が借地権であるが、その対象確定条件として、「更地(借地権)としての評価」と記載されている。

対象確定条件は、「現状所与」「独立鑑定評価」「部分鑑定評価」「併合鑑定評価」「分割鑑定評価」のいずれになりますので、「更地(借地権)としての評価」の記載は不適切だと考えられます。類型が借地権であれば、対象確定条件は通常「部分鑑定評価」となります。

底地の不動産鑑定評価は、建物及びその敷地の部分鑑定評価ではない。

底地とは「宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の「所有権」をいう。」、部分鑑定評価は「不動産が土地及び建物等の結合により構成されている場合において、その状態を所与として、その不動産の構成部分を鑑定評価の対象とすること。」と定義されています。例えば借地権付建物の構成を見ると、建物+借地権+底地であり、底地の部分鑑定評価も不自然ではないようにも感じますが、不動産鑑定評価基準や要説には底地を部分鑑定評価で評価しろとの記載がなく、また、建物+借地権は所有者が同一であるものの、底地は異なる所有者であり、取引においては、借地権と底地の併合売買以外は底地が単独で取引対象となることから、建物と底地もしくは借地権と底地が結合して構成され、取引主体となっている訳ではなく、従って、底地自体が借地権の影響は受けるものの、独立しているものとも言えます。当方の理解不足もあり、明確な結論が現時点で導出出来ませんが、実務上、底地は現況所与の対象確定条件により不動産鑑定評価を実施することが安全だと思います。なお、今後根拠が明らかになりましたら、追記したいと思います。

借地権の取引慣行が「建物に随伴して取引されるのがほとんどで単独の取引はない」と分析していながら、部分鑑定評価ではなく独立鑑定評価としている理由が不明。

借地権の取引慣行が「建物に随伴して取引されるのがほとんどで単独の取引はない」と分析していながら、部分鑑定評価ではなく独立鑑定評価としている理由が不明とのことですが、ここで独立鑑定評価の定義を見てみますと、「不動産が土地及び建物等の結合により構成されている場合において、その土地のみを建物等が存しない独立のもの(更地)として鑑定評価の対象とすること」となっております。借地権付建物で仮に用語を変えて見ますと、「不動産が借地権及び建物等の結合により構成されている場合において、その借地権のみを建物等が存しない独立のもの(借地権)として鑑定評価の対象とすること」となり、いかにも独立鑑定評価が可能な文章となってしまいますが、不動産鑑定評価基準でいうところの借地権は借地借家法・旧借地法に基づく借地権であり、建物等が存しない場合はそもそも借地権が存在しないこととなり、存在し得ない借地権を鑑定評価の対象とすることは不可能だと思います。従いまして、通常の「部分鑑定評価」で不動産鑑定評価を実施することが適切だと考えられます。

林地の不動産鑑定評価で、隣接地の凍結中のマンション開発を考慮外とする条件の説明が不明で、林地の選定が疑問。

隣接地の凍結中のマンション開発を考慮外とする条件の説明が不明で、林地の選定が疑問とのことですが、あくまで実務修習における想定の話のことなのかも知れません。正直なところ、意味がよく分かりませんが、不動産鑑定が可能な林地は林地を林地以外のものとするためだけに限定されており、林地を林地として評価することは、不動産鑑定評価基準上出来ないこととなっております。これは農地も同様です。

借地権の不動産鑑定評価で、地代等が不明であるが、付加条件の記載がない。

実務上、借地権付建物もしくは借地権の取引事例は極めて数が少なく、借地権残余法や賃料差額還元法に頼らざるを得ないところがあります。借地権残余法、賃料差額還元法のいずれも地代が不明な場合、利用出来ない手法であり、そうなると借地権割合法しか適用出来ない可能性があります。相続税路線価における借地権割合は、あくまで税法上の評価額を算出するために税務当局が便宜上定めているものであり、不動産鑑定評価では本来のところ重要視すべき指標ではありません。従って、私見としては、地代が不明な場合は想定上の付加条件を付けても不動産鑑定評価はすべきでないと考えます。但し、実務修習というあくまで研修の一環としての場合は、地代を具体的に算出想定したうえで、不動産鑑定評価を実施する分には問題ないかと思います。いずれにしても地代が不明はまずいですね。

賃貸中の建物を「自用の建物として」対象確定条件として記載するのではなく、実地演習に当たって、最初から自用の建物であるという想定案件として評価すべき

実務修習と言う研修の一環上、生じる問題であるかと思います。但し、実務上判断が困難なケースに遭遇する場合があるのも事実で、当方でも対応に苦慮した思い出があります。当方の場合、当該不動産がIFRS関連の賃貸等不動産であり、賃貸部分と自用部分が若干賃貸部分が広いビルであったこともあり、現状所与の貸家及びその敷地(一部自用部分あり)で評価致しました。なお、不動産鑑定評価基準には具体的な数値等の記載がないため、現状は不動産鑑定士の判断に全てが委ねられている状況です。

不動産鑑定評価で、対象確定条件で「下記に示す依頼人の提示資料の内容に基づき鑑定評価を行う」とあり、提示資料を採用する合理的説明がない(基準に定める区分を明示すべき)。

基準に定める区分を明示すべきとは、おそらく「現状所与」「独立鑑定評価」「部分鑑定評価」「併合鑑定評価」「分割鑑定評価」のいずれかを明示すべきと理解します。高度利用賃貸で問題となったケースのようですので、通常は「現状所与」だと考えられます。

不動産鑑定評価で、確認資料のチェック漏れ(例:実測数量を採用しているが、確定実測図にチェックがない等)

これは、私が実務修習生の頃、悩みました。実務上は法務局で取得可能な地積測量図記載の面積に基づき、評価数量を決定します。なお、登記簿(正確には全部事項証明書)記載面積と地積測量図記載面積は同一(地目が宅地・鉱泉地以外の土地で10㎡以下の場合は小数点以下が切り捨てとなるので差異が生じます。参考 不動産登記規則第百条  地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一(宅地及び鉱泉地以外の土地で十平方メートルを超えるものについては、一平方メートル)未満の端数は、切り捨てる。 )ですので、通常は登記数量を採用した等の記述となります。ここで問題となるのは地積測量図の精度であり、現在の地積測量図は不動産登記法上、座標計算により算出しなければならないこととなっておりますが、このような高精度の地積測量図がある土地は少ない状況であり、三斜法などにより算出された比較的精度の低い地積測量図の土地の方が圧倒的に多い状況です。また、地積測量図自体も存在しない土地も多々あります。ところで、現在の地積測量図は最新の測量機器により作成された図面であり、不動産鑑定評価対象地が当該地積測量図の場合は、通常地積測量図は境界確定の上で作成されますので地積測量図=確定測量図と言う図式になります。ところが、実務修習の様式には「地積測量図」の他に「確定測量図」のチェック欄もあり、測量精度が担保された地積測量図である場合は、敢えて「確定測量図」のチェック欄にチェックを入れる必要がないとも思えます。地積測量図と確定測量図の明確な定義が示されておりませんので、混乱を避けるためにも、審査会の方々には修習生に当該定義の開示をお願い出来ればと思います。

業務用ビルの不動産鑑定評価で、類型が自用の建物及びその敷地であり、対象確定条件も特にないのに、賃貸借契約の概要に記載があり、類型に疑義がある。

業務用ビルの不動産鑑定評価、類型が自用の建物及びその敷地であり、対象確定条件も特にない、おそらく現状所与と推察されますが、賃貸借契約の概要に記載があることにより、類型に疑義があるものとされています。内訳書における説明が不十分だっただけのような気がしますが、例えば業務用ビルの大部分が自用で、一部を賃貸に供している場合などは、類型が自用の建物及びその敷地でも問題ないと思います。とは言え、あくまで研修の一環であることを考えると、シンプルイズベストの例え通り、実態は異なっていても、全て自用と想定してしまえば、このような指摘を受けることはなかったように思います。但し、賃貸と自用が混在している建物は、実務上、よく出くわすケースです。

借地権の不動産鑑定評価で、賃貸借契約締結の経緯及び建物の状況が不明確である。

借地権の不動産鑑定評価において、賃貸借契約締結の経緯及び建物の状況が不明確であるとの指摘ですが、一般的な不動産鑑定評価の場合は、借地権の原契約(当初契約)の内容から現行契約に至るまでの経緯を記述するのが普通です。不明確ということは、端折ってしまった部分があるのかも知れません。とは言え、現行契約当事者が生まれる前に原契約が締結されているケースもあり、まともに契約書が残っていない場合もございます。実務修習と言う研修の一環で考えれば、借地権の内容が簡単かつ明瞭な事例を選択した方がいいかも知れません。

借地権の不動産鑑定評価で、賃貸借契約内容の目的が「普通建物所有」と記載されており、堅固建物所有目的か非堅固建物所有目的か不明。

借地権の不動産鑑定評価で、賃貸借契約内容の目的が「普通建物所有」と記載されており、堅固建物所有目的か非堅固建物所有目的か不明との指摘です。賃貸借契約内容の目的が「普通建物所有」と記載されており、堅固建物所有目的か非堅固建物所有目的か不明とのことですので、旧法借地権の不動産鑑定評価と思われますが、私もこのような賃貸借契約書を見た経験があります。旧法借地権は期間を定めた場合は堅固建物所有目的の場合30年以上、非堅固建物所有目的の場合20年以上となっておりますので、「普通建物所有」と記載されていても、契約期間を注視することで、堅固建物所有目的か非堅固建物所有目的かの判断は可能です。但し、期間の定めがない場合は判断出来ませんので、この場合は、現建物が堅固(RC以上)なのか否かで判断出来るかと思います。古い契約書は現在の契約書と比較するとかなり大雑把ですので、借地権の確定には労力が必要です。

居住用賃貸の不動産鑑定評価で、レントロールによる確認においても代表的な契約書による契約内容の確認は必要であるが、賃貸借契約書を確認したとはなっていない。

レントロールとは、不動産の評価、調査、レポートをする場合に使われる、貸借状況一覧表のことをいいます。レントロール(Rent roll)は、過去の賃借状況(家賃収入状況)などを調査する際に使用しますが、いわゆる賃貸借契約書の要約であるため、賃貸借契約書自体は確認する必要があります。とは言え、例えば100戸の共同住宅の賃貸の場合は、契約書だけでも膨大な量となってしまいますので、鑑定評価実務上は、代表的な契約書の確認程度は最低でも必要との指摘です。

店舗用賃貸の不動産鑑定評価で、貸家及びその敷地でありながら、建物賃貸借契約の概要欄に記載がない。

店舗用賃貸の不動産鑑定評価で、貸家及びその敷地でありながら、建物賃貸借契約の概要欄に記載がない。との指摘です。これは単なるミスだと思います。賃貸借契約書の内容の記載がない場合、対象不動産が本当に貸家及びその敷地なのか判断出来ませんので、賃料や契約期間等の記載は必須事項です。

マンションの不動産鑑定評価においては管理規約の確認が必要。

マンションの不動産鑑定評価においては管理規約の確認が必要との指摘です。不動産鑑定評価基準上はマンションとは呼ばず、区分所有建物及びその敷地の不動産鑑定評価となります。通常の売買の場合、売主が管理規約を保管しており、紛失した場合も管理会社が管理規約を保管しておりますので、重要事項説明に基づく依頼を管理会社側にかければ、有償の場合もありますが開示してもらえます。ところが、不動産鑑定評価の場合は、上記重要事項説明に基づく依頼が法律で認められておりませんので、もし鑑定依頼者が紛失等していた場合は、管理人さんに何とか頼んで拝見させてもらうか等せねばなりません。この他、管理費及び修繕積立金の額も宅建業者には開示してくれますが、不動産鑑定士に対する開示義務は管理会社側にはないため、不動産鑑定士であることの証明書等を求められることがあります。マンションの場合、概ね相場が形成されておりますので、不動産鑑定評価の依頼を受けること自体が少ないのですが、いざ受ける場合は、必要情報・資料の収集に大変苦労することとなります。

マンションの不動産鑑定評価で、敷地は借地権であるが、賃貸借契約内容が不明。

敷地は借地権であるが、賃貸借契約内容が不明なマンションつまり区分所有建物及びその敷地の不動産鑑定評価での指摘です。いわゆる借地権マンションは数は少ないものの実際あります。賃借権の場合もあれば、地上権の場合もあり、これは賃貸借契約書を確認しなければ原則分かりません。但し、敷地権のマンションの場合は、登記(証明書・要約書)を見れば、賃借権の敷地権なのか、地上権の敷地権なのかが区別出来るよう記載がありますので、そこから権利の態様の確認程度は可能となります。なお、所有権のマンションと異なるところは、管理費・修繕積立金の他に地代が必要となる点です。また、最近は一般定期借地権マンションも登場しており、この場合の借地権は上記賃借権、地上権と異なり、定期借地権となります。定期借地権は更新が出来ないのが特徴ですので、経年により、価格が減少する借地権です。

借地権付建物の不動産鑑定評価で、土地の採用数量が公簿となっているが、契約数量である。

借地権付建物の不動産鑑定評価について、土地の採用数量が公簿となっているが、契約数量であるとの指摘です。不動産鑑定評価書には評価採用数量の根拠を記載しなければなりませんが、その根拠を公簿すなわち登記数量と記載したにも関わらず、計算は差契約数量を用いているものと推察されます。ところで借地権の場合、特に古い借地権の場合は、契約数量が約〇坪だったりと大雑把な場合も多く、借地権の範囲の確定には気を使います。実務修習用の題材としては、借地権の範囲が確定している題材もしくは想定をした方が無難だと思います。

借地権付建物の不動産鑑定評価で、契約始期は、原契約の開始時期を記載(平成7年からの契約であれば借地借家法の施行後であり、契約期間20年間はあり得ない)。

借地権付建物の不動産鑑定評価に対して、契約始期は、原契約の開始時期を記載(平成7年からの契約であれば借地借家法の施行後であり、契約期間20年間はあり得ない)との指摘です。平成7年から新規に建物所有を目的とする借地契約を締結しているとすれば、契約期間は期限の定めのない場合は30年、定めた場合は30年以上と法定されておりますので、契約期間20年間はあり得ないということになります。ところで、定期借地権ではない借地権で、借地借家法に基づく借地権は、実務的に見たことがありません。勿論、あるにはあるのでしょうが、極めて少数かと思われます。地主側からすれば、旧借地法でも借地権者の権利が強力で歯がゆい思いをしていた感もあるかと思いますので、更に権限が強化された借地借家法に基づく借地権を容易に認めてしまうとなると、どれだけマゾなのかと言われても仕方ないかもしれません。これもひとえに地代の上限が低額であることに起因していると考えます。地代も家賃並みの単価が相場になればもっと借地契約も増えるかもしれませんが、現行水準では到底困難と言わざるを得ません。

地代の不動産鑑定評価で、契約期間は20年、種類は「旧借地法による借地」と記載すること。

地代の不動産鑑定評価に関し、契約期間は20年、種類は「旧借地法による借地」と記載することとの指摘です。先にもありましたとおり、借地借家法の契約期間は、契約始期が借地借家法施行後なら30年以上となり、現在は平成23年ですので、更新期は未到来となります。従って、契約期間20年の段階で旧借地法による借地となり、その旨を不動産鑑定評価書に記載する必要があります。

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