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不動産鑑定評価で、近隣地域内における位置が記載されていない。

近隣地域内における位置が記載されていないとの指摘ですが、不動産鑑定評価では、一般的要因の分析、地域分析、個別分析は必須の分析であり、その中で、地域分析により、近隣地域の標準的使用を判定します。近隣地域の範囲の確定は地域分析の中で明らかになりますが、その範囲は抽象的な範囲とはならず、実務的には例えば、近隣地域は対象不動産を中心に東約100m、西約100m、南約100m、北約100mであり、対象不動産は近隣地域のほぼ中央部に位置する。との記載となります。おそらく、このような記載が不動産鑑定評価書に認められなかったため、指摘事項となったということのように思います。

借地権・底地の不動産鑑定評価で、近隣地域の分析において借地権市場について触れられていない。

借地権・底地の不動産鑑定評価において、近隣地域の分析において借地権市場について触れられていないとの指摘です。通常不動産の市場は売買市場・賃貸市場(貸家)が主流であり、借地権市場が形成されている地域はないと言っても過言ではありません。とは言え、評価対象が借地権、底地である場合は、不動産鑑定評価上は記載が必要な項目です。以下のような記載が、サンプルとなります。①借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度 借地権自体の取引は極めて少ないが、借地権者による底地併合や地主の借地権買取等は当事者間では一定の割合で成立するものと思われる。 従って、数量は少ないが、十分に慣行化並びに成熟化していると言える。 ② 借地権のあり方 近隣地域及び周辺類似地域内では旧借地法時代の借地が継続しているのが一般的であり、平成4年の借地法改正以前において、新規に有償で借地権が成立することは極めて少なく、承継による借地権が一般的である。借地権の取引は、当事者間による場合が多いが、第三者を対象として借地権付建物が取引される場合も、少ないながら認められる。当事者間による場合も第三者間による場合も、借地権割合には差がない場合が多い。借地権は、条件変更により堅固な建物も認められるが、一般的には非堅固な建物所有が多く、賃貸借契約は当初口答による場合が大半であるが、近年の更新時に書面に変更する場合が多い。近隣地域の借地権は、旧来からの地主に対して借地人が恩恵的に賃借している場合は、借地権に関する権利意識はやや弱いが、近年承継によりその地位が引き継がれている場合が多く、借地権に関する権利意識は、借地人・底地所有者いずれも強い地域である。 ③ 借地権取引の態様 近隣地域及び同一需給圏内の類似地域においては、借地権の設定時期が古い場合が一般的であり、設定当時に権利金の授受がなされていない場合や当初契約当事者等が既に他界されて、不明となっている場合が多い。また、その後の一時金の授受の慣行については、条件変更を伴う場合は条件変更承諾料、更新時には更新料の授受が一般的となっている。条件変更承諾料は、更地価格の5〜10%が多く、更新料、名義書替料は更地価格の5%程度が多い。

不動産鑑定評価の標準的使用に関し、階層の記載がない。

不動産鑑定評価における標準的使用の項目に関し、階層の記載がないとの指摘です。

近隣地域の標準的使用は地域分析により明らかになるところですが、例えば戸建住宅地を標準的使用と判断した場合は、「2階建」戸建住宅地等と具体的に記述するよう求められているものと推察致します。

この他、「低層」「中層」「高層」「超高層」等の用語も不動産鑑定評価上は利用されますが、例えば「高層」は何階から何階までを指すのか、明確な定義づけがなされている訳ではないため、階数を具体的に表現する方が優るように思います。

なお、以下がウィキペディアで記載されている内容です。

低層建築物(ていそうけんちくぶつ)は、高さによって建築物を区分する際の一区分で、一般に1階(平屋)及び2階建ての建築物を指す。都市計画法施行令では、一団地の住宅施設の都市計画については、住宅の低層、中層又は高層別の予定戸数を定めることとされており(第6条第1項第7号)、実務上、低層は1〜2階、中層は3〜5階、高層は6階以上とされている。 建設省が1995年に策定した「長寿社会対応住宅設計指針」(建設省住備発第63号)においても、「6階以上の高層住宅にはエレベーターを設置するとともに、できる限り3〜5階の中層住宅等にもエレベーターを設ける。」と規定されているので、1〜2階の建築物が低層建築物であると解釈することができる。 低層建築物より高さが高い建築物は、順に中層建築物、高層建築物と呼ばれる。

中層建築物(ちゅうそうけんちくぶつ)は、高さによって建築物を区分する際の一区分で、一般に3階以上、5階以下の建築物を指す。中層建築物には種々の定義があるが、一般的には、国土交通省の法令の運用などに基づき、3階以上、5階以下の建築物を中層建築物と呼ぶことが多い。主要な定義には以下のものがある。 都市計画法施行令では、一団地の住宅施設の都市計画については、住宅の低層、中層又は高層別の予定戸数を定めることとされており(第6条第1項第7号)、実務上、低層は1〜2階、中層は3〜5階、高層は6階以上とされている。 建設省が1995年に策定した「長寿社会対応住宅設計指針」(建設省住備発第63号)においても、「6階以上の高層住宅にはエレベーターを設置するとともに、できる限り3〜5階の中層住宅等にもエレベーターを設ける。」と規定されており、3〜5階が中層住宅とされている。 消防法では、中層建築物についての定義はないが、高層建築物を「高さ31mを超える建築物」と定義しているので(第8条の2)、高さ31m以下の建築物が中層建築物であると解釈することができる。 中層建築物より高さが低い建築物は低層建築物、高さが高い建築物は高層建築物と呼ばれる。

高層建築物(こうそうけんちくぶつ)は、高さによって建築物を区分する際の一区分で、中層建築物を超える高さを有する建築物を指す。また、超高層建築物と区別する場合には、中層と超高層の中間の高さを有する建築物を指す。高層ビル(こうそうビル)ともいう。高層建築物は、高さによって建築物を区分する際の一区分であるが、具体的にどの範囲の高さの建築物を指すかについては種々の定義がある。一般的には、国土交通省の法令の運用などに基づき、6階以上の建築物を高層建築物と呼ぶことが多い。主要な定義には以下のものがある。 都市計画法施行令では、一団地の住宅施設の都市計画については、住宅の低層、中層又は高層別の予定戸数を定めることとされており(第6条第1項第7号)、実務上、低層は1 - 2階、中層は3 - 5階、高層は6階以上とされている。 建設省が1995年に策定した「長寿社会対応住宅設計指針」(建設省住備発第63号)においても、「6階以上の高層住宅にはエレベーターを設置するとともに、できる限り3 - 5階の中層住宅等にもエレベーターを設ける」と規定されており、6階以上が高層住宅とされている。 上記の通り、6階以上になるとエレベータを設置する義務が発生するが、5階までは設置する義務(法的な強制力)がないため、集合住宅や雑居ビルでは(設置の義務を免れるよう)意図的に5階建てまでにする場合が多い。 消防法では、高層建築物を「高さ31mを超える建築物」と定義している(第8条の2)。 建築基準法では、高層建築物についての定義はない。ただし、高さ60mを境にして建築物の構造耐力について異なる基準を定めているため(第20条)、高さが60mを超える建築物が超高層建築物であると解される場合がある。このように解する場合には、高層建築物の上限は高さ60mであり、それを超えると超高層建築物と呼ばれることになる。 地方公共団体では、条例などによって高層の定義をそれぞれ決めている場合が多い。

超高層建築物(ちょうこうそうけんちくぶつ)は、高層建築物の中でも特に高い建築物である。超高層ビル(ちょうこうそうビル)ともいう(以下、「超高層ビル」を用いる)。どの程度の高さ以上の建築物を超高層ビルと呼ぶかについては、統一された明確な基準はない。どのような高さや階数の建築物を超高層ビルと呼ぶかについては、統一された明確な定義はない。 例として広辞苑では、「15階以上、または、100m以上の高さの建築物を超高層建築と呼ぶことが多い」としている。階高を3~4mと仮定すると15階は45~60mにあたり、15階以上と100m以上とではその高さに大きな開きがあることになる。日本初の超高層ビルとされるのは霞が関ビルディング(36階、地上147m)である。それ以前に最も高い建築物であったホテルニューオータニ(17階、73m)は、超高層ビルとは呼ばれていなかった。 日本の法律では「超高層」という用語は用いられていないが、建築基準法第20条第1号では高さが60mを超える建築物に対してそれ以下のものと異なる構造の基準を設定しており、高さ60m以上の建築物が超高層建築と呼ばれることがある。また、超高層ビル群があることで有名な新宿区は高さ100m以上の建築物を超高層建築物と規定している。 イギリスのskyscrapernews.comでは、高さ150m(500ft)以上のビルを超高層ビル(skyscraper)と定義している。英米ではこの定義が一般的である。また、300m以上(〜1,000m以下)の超高層ビル(超高層建築物)を supertall building (supertall tower)、または単に supertall と呼ぶ場合がある。 現在研究・構想されている高さが1,000mを超えるビルは、ハイパービルディング(超々高層ビル、超々高層建築物)と呼ばれる。

不動産鑑定評価で、標準的使用が複数記載されている。

標準的使用が複数記載されているとの指摘です。不動産鑑定評価実務上、標準的使用は1つですが、不動産鑑定評価基準には明確な定義が記載されておりません。大辞泉によれば「標準的」とは、1 物事の基準や目安となるさま。「―な発音」2 ごく普通であるさま。平均的。「―な中流家庭」であり、基準や目安が複数あるのはおかしいとの論理により、標準的使用が1つに限定されているのかも知れません。ちなみに、大手不動産鑑定会社用語集には、標準的使用とはその地域の特性が具現化されている、その地域内において最も一般的な不動産の使用方法をいう。と記載されており、この用語集での定義づけなら、標準的使用が複数存在するのは確かにおかしいこととなります。関連用語である最有効使用は「最も」有効な使用で最上級の表現であるため、1つしか存在しないのは分かりますが、標準的と言う表現で、1つの使用に限定出来るのか、正直なところ、当方も確信が持てません。

宅地見込地の不動産鑑定評価で、標準的使用を戸建て住宅地としている。

宅地見込地の不動産鑑定評価で標準的使用を戸建て住宅地としているとの指摘です。 不動産鑑定評価基準では【宅地見込地の鑑定評価額は、比準価格及び当該宅地見込地について、価格時点において、転換後・造成後の更地を想定し、その価格から通常の造成費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除し、その額を当該宅地見込地の熟成度に応じて適切に修正して得た価格を関連づけて決定するものとする。この場合においては、特に都市の外延的発展を促進する要因の近隣地域に及ぼす影響度及び次に掲げる事項を総合的に勘案するものとする。 1.当該宅地見込地の宅地化を助長し、又は阻害している行政上の措置又は規制 2.付近における公共施設及び公益的施設の整備の動向 3.付近における住宅、店舗、工場等の建設の動向 4.造成の難易及びその必要の程度 5.造成後における宅地としての有効利用度  また、熟成度の低い宅地見込地を鑑定評価する場合には、比準価格を標準とし、転換前の土地の種別に基づく価格に宅地となる期待性を加味して得た価格を比較考量して決定するものとする。】となっており、近隣地域内の標準的使用、標準的画地が宅地見込地でないと、話がおかしくなります。と言いますのも、比準価格はあくまで宅地見込地の比準価格を求める必要があり、標準的使用を戸建住宅地としてしまうと、求めるべき比準価格は、戸建住宅地の比準価格となってしまうからです。恐らく、対象不動産周辺は既に宅地造成完了済みで、対象不動産のみ市街地山林として宅地造成未了のような土地を題材とされているものと推察されます。近隣地域を対象不動産周辺も含め広く定めてしまうと、今回の指摘事項のような状況も起こる可能性がござい案す。不自然な感じもしますが、上記対象不動産のような場合は、近隣地域と対象不動産がほぼ一致するような範囲の取り方をすれば、いいのではないかと思います。

宅地見込地の不動産鑑定評価で、埋蔵文化財包蔵地であるが、開発適地と言えるのか説明が必要(題材選定の不適切もあり)。

宅地見込地の不動産鑑定において、埋蔵文化財包蔵地であるが、開発適地と言えるのか説明が必要(題材選定の不適切もあり)との指摘です。通常、埋蔵文化財包蔵地内で宅地造成を実施する場合、試掘調査費用は行政が負担するものの、試掘調査の結果、発掘調査が必要となる場合は開発事業者が発掘調査費用を負担する行政が殆どだと思います。当方の知るところでは、発掘調査費用まで行政が負担してくれる自治体は皆無です。埋蔵文化財包蔵地にも埋蔵文化財包蔵地毎に影響度が異なり、例えば、近隣で発掘調査をしている土地で世紀の大発見があったなどと言う場合は、対象地にも包蔵されている可能性が高いと言え、その場合、発掘費用負担、事業中止も考えれるところです。題材選定の不適切もありとの指摘もございますが、これは例えば、開発許可が下りない土地であるにも関わらず、宅地見込地の不動産鑑定評価実務修習題材としてしまったということもあるかも知れません。あくまで「宅地」見込地ですので、「宅地」となりえない土地は「宅地見込地」とはなりません。役所調査がやはり重要だと思います。

宅地見込地の不動産鑑定評価で、宅地見込地ならば、○○向宅地見込地等と記載。

宅地見込地の不動産鑑定評価において、宅地見込地ならば、○○向宅地見込地等と記載すべきとの指摘です。宅地見込地のほとんどは住宅地向宅地見込地と思われますが、例えばリゾート開発の場合は、別荘地向宅地見込地となるものと思います。残念ながら、当方は経験がございません。

宅地見込地の不動産鑑定評価で、水田や山林と記載されているが熟成の程度が不明。

宅地見込地の不動産鑑定評価において、水田や山林と記載されているが熟成の程度が不明との指摘です。宅地見込地の不動産鑑定評価における熟成度とは、近隣地域の宅地見込地について、社会的、経済的及び行政的観点から判断して宅地開発事業に着手するための客観的な状況が整うまでの度合いを指すものとされています。例えば、過疎化が進んでいる地域で、法律上は宅地開発が可能な地域に属する宅地見込地を不動産鑑定評価する場合、経済的に宅地造成後の需要が見込めないと判断される場合は、熟成度は低いと言わざるを得ません。水田や山林のみの記載では、説明不足と言うことだと思います。

借地権付建物の不動産鑑定評価で、市街化調整区域内で標準的使用を低層共同住宅と判断しているが、根拠の説明が不足。

借地権付建物の不動産鑑定評価で、市街化調整区域内で標準的使用を低層共同住宅と判断しているが、根拠の説明が不足との指摘です。【市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)とは、都市計画法(第7条以下)により、都市計画で定められる都市計画区域における、区域区分のひとつである。市街化区域と対をなす。同法は、「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。」としている。この区域では、開発行為は原則として抑制され、都市施設の整備も原則として行われない。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することが出来ない地域となる。ただし、一定規模までの農林水産業施設や、公的な施設、および公的機関による土地区画整理事業などによる整備等は可能である。既存建築物を除いては、全般的に農林水産業などの田園地帯とすることが企図されている。】とある通り、市街化調整区域は原則建築不可の区域です。その区域内における低層共同住宅を標準的に使用されているものとしておりますので、根拠がないとおかしいということだと思います。なお、市街化調整区域でも例外的に建築が認められる土地、地域があり、これは行政により基準が異なりますので、役所調査により得た内容を不動産鑑定評価書に記載する必要があります。

不動産鑑定評価で、標準的使用と最有効使用の相違についての説明がない。

細分化類型等共通の不動産鑑定評価において、標準的使用と最有効使用の相違についての説明がないとの指摘です。標準的使用とは、その地域の特性が具現化されている、その地域内において最も一般的な不動産の使用方法をいうものとされております。一方、最有効使用とは、ある不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用方法をいう。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものであるものとされております。つまり、標準的使用は近隣地域内の不動産についての使用方法、最有効使用は鑑定評価対象不動産についての使用方法ということになります。ちなみに、地域分析により標準的使用、個別分析により最有効使用を判定することとなります。従って、標準的使用と最有効使用が異なるケースは当然出てきますので、不動産鑑定評価書には標準的使用、最有効使用についての説明をする必要があります。

別荘地向けの宅地見込地の不動産鑑定評価で、標準的使用と異なっていると記載されているが、増減価要因の内訳に近隣地域内で標準的でありと記載されており矛盾している。

宅地見込地の不動産鑑定評価において、別荘地向けの宅地見込地で、標準的使用と異なっていると記載されているが、増減価要因の内訳に近隣地域内で標準的でありと記載されており矛盾しているとの指摘です。不動産鑑定評価において、地域分析は必須ですが、当該地域分析により近隣地域の範囲の確定、近隣地域内の標準的使用並びに標準的画地を判定します。続いて、当該地域分析等を加味しながら個別分析により、対象不動産の最有効使用の判定を実施、その後、取引事例比較法に基づく比準価格算出の際、一般的には標準画地比較法を用いて、まずは近隣地域内の標準的画地について価格を求め、その後標準的画地と対象不動産との差異を増減価要因により補正し、最終的な比準価格を算出します。指摘事項によれば、標準的使用は別荘地向け宅地見込地以外のものだと推察され、従って、標準的画地も標準的使用に関連した画地規模となるものと推察されますが、近隣地域内で標準的でありとの記載があり、本来なら標準的画地と対象不動産との差異を増減価要因により補正しなければならないところ、おそらく増減価要因を比準価格算出の際に見なかった点で矛盾が生じてしまった可能性があります。

市街化区域内の都市近郊林地であることから、開発の蓋然性が低いことの根拠説明が第三者に適切に行えるよう丁寧に報告書に記載する必要がある。単に道路に接面していないだけだと、道路用地を買収すれば開発可能ではないかとの指摘を受ける可能性あり。宅地見込地

宅地見込地の不動産鑑定において、特に市街化区域内の都市近郊林地であることから、開発の蓋然性が低いことの根拠説明が第三者に適切に行えるよう丁寧に報告書に記載する必要がある。単に道路に接面していないだけだと、道路用地を買収すれば開発可能ではないかとの指摘を受ける可能性も考えられるとの指摘です。いわゆる一般的な市街地山林は、開発許可自体の取得はそれ程困難ではありません。伐採、抜根、整地、地盤改良、土盛、土止等が実施可能な山林なら、傾斜にもよりますが、宅地見込地と判断して差し支えないかと思われます。但し、保安林の指定や特別緑地保全地区内の山林、もしくは急傾斜地崩壊危険区域内の山林の場合等は、宅地見込地とならない可能性があります。保安林の場合は、民間業者が指定解除不能であり、特別緑地保全地区も宅地造成には都道府県知事の許可が必要となりますが、申請すれば必ず許可されるべき山林とは言えません。また急傾斜地崩壊危険区域内の山林の場合は、基本的に傾斜度が30度以上であり、物理的に宅地造成不能である可能性が高いです。鑑定評価対象不動産の法令上の規制の情報が何もありませんので判断出来かねますが、法令上の規制は特になく、単に道路に接面していないだけと言う状態なら、宅地見込地と判断出来るかと思われます。しかしながら、単に道路に接面していないだけと言いましても、用地買収が困難なケースも当然あり、また、接続道路幅員により開発許可が下りない土地もあることから、いずれにしましても入念な役所調査が必要となるかと思います。

不動産鑑定評価で、敷地との適応、環境との適合について記載されていない。

いずれの不動産鑑定評価でも、敷地との適応、環境との適合について記載されていないとの指摘です。最有効使用の判定は最有効使用の原則、均衡の原則、適合の原則等の観点から、個別分析により明らかになりますが、均衡の原則においては、土地については擁壁、庭、駐車場など、建物については柱、壁、屋根、外装、内装などが均衡しているか分析が必要としております。従って、不動産鑑定評価書にも当該要素が均衡しているかを記載する必要があります。ちなみに均衡とは、最適の組み合わせが実現されている状態のことをいいます。また、適合の原則においては、対象不動産の属する地域の特性に適合しているか分析が必要としております。例えば小売店舗が集中している地域に、対象不動産が2階建戸建住宅の場合は、環境に適合しているとは言えず、土地建物の最有効使用は実現されていないこととなり、減価が必要となります。本指摘は、この作業を省略している不動産鑑定評価書は格差補正が不十分となる可能性があることの警告かと思います。

建付地の不動産鑑定評価で、土地建物一体の最有効使用が記載されておらず建付減価の理由が不明。

建付地の不動産鑑定評価について、土地建物一体の最有効使用が記載されておらず建付減価の理由が不明との指摘です。建付地の鑑定評価は部分鑑定評価となり、土地建物一体の最有効使用が実現されていなければ、建付減価修正が必要となりますが、本指摘は最有効実現の状況が分からないのに、何故建付減価修正が出来るのだという警告だと思います。建付減価を考慮する場合は、その根拠を示す必要があります。

建付地の不動産鑑定評価で、取り壊し最有効と判断している。

建付地の不動産鑑定評価において、取り壊し最有効と判断しているとの指摘です。 不動産鑑定評価基準上、建付地とは、【建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属し、かつ、当該所有者により使用され、その敷地の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。】ものとされています。また、要説には建付地とは、【建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているものであり、建物等との関連において最有効使用の状態にあるか否かが左右されるものである。土地は、法律上独立の不動産として規定されており、建物も同様である。しかし、機能的にはこの両者が結合した状態を所与として価格が形成されているので、鑑定評価上は、土地と建物の一体としての価格を土地と建物とに振り分けることとしている。これが、土地又は建物について有機的一体物の部分としての評価、すなわち部分鑑定評価の存立の根拠となるものである。】との記載があります。つまり、建付地として部分鑑定評価可能な状態とは、土地と建物が結合して、有機的(=多くの部分が緊密な連関をもちながら全体を形作っているさま。大辞泉より)に効用を発揮していることが条件であり、取壊し最有効と判断してしまいますと、土地と建物は有機的には効用を発揮していないと判断したこととなり、建付地としての部分鑑定評価はそもそも不可能となってしまいます。本指摘は、不可能を可能としてしまう論理に対する警告ともとれます。なお、取壊し最有効と判断した場合の類型は「自用の建物及びその敷地」となります。

「本件建付地は地上建物と一体として継続使用することが合理的と認められない」とあり、この場合は取り壊し最有効であるために、「建付地」ではなく「自建」として評価すべきである。

「本件建付地は地上建物と一体として継続使用することが合理的と認められない」とあ り、この場合は取り壊し最有効であるために、「建付地」ではなく「自建」として評価す べきであるとの指摘です。前回の指摘と同様、有機的に効用を発揮しているか否かがポイントかと思われます。審査員の先生は合理的と認められない=有機的に効用を発揮していない=取壊し最有効と判断しておられますので、「建付地」ではなく「自建」として評価す べきであると指摘されたのだと思います。

借地権の不動産鑑定評価で、現況の4階建は取り壊しを前提としているが、経済的合理性等の検討が十分なされているか説明不足。

借地権の不動産鑑定評価において、現況の4階建は取り壊しを前提としているが、経済的合理性等の検討が十分なされているか説明不足との指摘です。対象不動産の具体的な内容が全く分かりませんので、あくまで推測ですが、取り壊しを前提としていることから最有効使用が実現されていない状況と判断され、今後の条件変更承諾料等を考慮し、借地権の減価修正をしているのかも知れません。この他、契約減価の可能性もあるかと思いますが、その場合は取壊しと言うよりは、本来なら7階建まで建築可能な土地であるにも関わらず、契約により高さを規制したり、構造を規制したりする場合であり、対象不動産の状況によっては、認められるかも知れません。なお、単に現況4階建の取り壊しが経済的合理性に適うものと判断した根拠の説明が不足しているとのことでしたら、築年数や内外部の状況等の説明が必要かと思います。

借地権の不動産鑑定評価で、土地の標準的使用、最有効使用が中層店舗付事務所であるにもかかわらず、現況の非堅固2階建てを最有効使用としており、契約減価等に関する分析がなされていない。

借地権の不動産鑑定評価において、土地の標準的使用、最有効使用が中層店舗付事務所であるにもかかわらず、現況の非堅固2階建てを最有効使用としており、契約減価等に関する分析がなされていないとの指摘です。中層店舗付事務所と言うことですので、少なくとも3階以上の建築物と推定され、最有効使用の判断に矛盾が生じているということだと思います。低層、中層、高層、超高層の定義も以前書きましたとおり曖昧なため、100%の確信を持って、中層=3階以上と言い切れるのか問題はありますが、実務的には2階までは低層、3階〜6階までは中層、7階以上は高層として考えれば、指摘を受ける可能性は低くなるものと思われます。

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